ヒロアキ

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翌日の土曜日。 池袋から私鉄に乗り換え数駅。 朝から日差しのさすことのない寒い日だった。空は鈍色で重く雨が降り出さない分、余計に寒々としているようだった。 小さな改札を出るとそこでヒロアキが待っていた。 昨日のスーツ姿とはガラッと印象が変わる。スーツは鎧のようなものだ。 ヒロアキはこちらが緊張するほど整った顔立ちではないが、初対面で会ったら好感を持つような顔をしていた。端整とはいえないが、いい男といった印象。 スーツを着ているとそれが冴える。 私服も悪くないがスーツ姿の方がいい男に見えると思った。 「迷子にならなかった?」 「大丈夫。」 ヒロアキは私の手をとり歩きはじめた。 「じゃあ駅からもしっかり覚えてね。ここで曲がるからね。」 「うん。」 強引なヒロアキに少し気圧されながら、ヒロアキの家に向かった。 そこは新築らしいアパートだった。建物は新しいが狭いアパートだ。 詳しくはまだ聞いていなかったが、ヒロアキは結婚経験があり少し前に離婚が成立していた。前妻との間に幼い子供も一人いるらしい。
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