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どれくらい経ったか、枕元の携帯の音でまた目が醒めた。
(メールか。誰だろう?)
「俺の財布知らない?昨日、買い物の時に渡さなかったっけ?無くしたかもしれない。」
ヒロアキからだった。
(え?)
財布なんてそもそも渡されてない。買い物の支払いはヒロアキがした。それに買い物した分の半分強のお金は渡してきた。
体がだるくメールの返信は億劫だったが、お金の事なので返信した。
「私はお財布は預かってません。心当たりはないな。ごめんなさい。」
やっとの思いでそれだけ入力して返信した。
そういえば昨晩のメールは晃司くんからだったのかな?後で返信してみよう…と思いつつまた横になった。
(またメールか…)
重たい体を起こして携帯をみた。
「俺、財布ないと本当に困るんだよ。小銭しかないし。ちょっとでもいいから貸して。電車代もないから持ってきてくれないかな?」
(今度はお金か…とんでもない。絶対嫌だ。早く縁切らなきゃ。)
心が雪崩のように崩れ落ちて行くような気がした。
無視しようと決めた。
何分か経過した後、今度は電話がかかってきた。
「メールみた?」
「うん。」
「貸して。財布見つかったら返すから。」
「私、貸せないし行けない。風邪ひいたみたいで具合悪いし。」
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