ヒロアキ

15/27
前へ
/35ページ
次へ
「お前にしか頼めないから頼んでるんじゃん。お前、もしかして俺の財布とってないよな?」 呆然とした。瞼の裏が真っ赤になった。 「何言ってるの?そんな事するわけないでしょ!」 「ちょっと言ってみただけだよ。コーフンすんな。な、本当にすぐ返すから。五千でも一万でもいいからさ。」 「本当に無理。私、こういう事は嫌なの。お金の貸し借りは友達でも絶対しない。まして会ったばかりの女に借りようなんて。他をあたって。」 思ってた事を一気に言った。 「わかったよ。もうお前には頼まねえよ。」 「それから。」 私は思い切って言った。 「もう会うつもりないから。連絡しないで。」 「え?何だって?」 「もう会わないって言ったの!」 「ふざけるなよ、お前。何言ってんの?」 「ふざけてなんかいない。もう嫌だからやめようって言ってるだけ。」 「何が嫌だだよ。そんなわけにはいかねえんだよ。俺は絶対そんなの認めないからな。」 「認めようと認めまいと私はもう会う気ないから。じゃ。」 と言ってプツンと電話を切ってしまった。 すっきりした。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加