ヒロアキ

19/27
前へ
/35ページ
次へ
かつて愛した人の事を思った。 ヒロを愛すより先に出会って恋に落ち、夢中になり、最後はボロボロになった。 私は22歳、彼は32歳。 若さともてるエネルギーの全てを注いで私は彼を愛した。愛する事は次第に苦悩に変わった。それでも愛しつづけた。その思いに未来はなかった。それでも終わりが来るまで夢中で愛した。 それがそんなに悪い事なのか。間違った恋愛だったかもしれない。でも恋愛に間違っているとか間違っていないとかいう事自体が意味がない気がする。 混沌の中で私が彼を愛しているという事実だけが確かな事だった。 後悔はしていないし違う運命の元、また違う形で出会ったとしても彼を愛すと思う。彼を愛した事は悪い事なのかもしれない。それでも彼をただひたすら愛している時、私は間違いなく幸せだった。 出会うべきではなかったなんて考えるのはそもそもナンセンスだ。出会いは決まっていた事なのだ。 彼への愛の先に未来がない事もまた運命だったのだ。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加