ヒロアキ

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解散後、つかまりたくない私とリカはそそくさとビルを後にした。 駅へ向かおうとした私に 「ねえ?ちょっとつきあってくれない?蔵、行けない?」 とリカが言った。 「いいよ。」 と言って二人で『蔵之介』に向かった。 「いらっしゃいませ!」 と威勢のいい声でマスターの蔵之介と晃司くんが言う。そしてすぐに 「この前はどうも。遅くなっちゃったけど大丈夫でしたか?」 と他の客を憚り小声で言った。 私達はカウンターに腰掛けながら 「こちらこそ。ごちそうさまでした。」 と言った。 いつものようにビールと軽いツマミを注文してから話し始めた。リカはなかなか自分から切り出さないので私が水を向けた。 「その後、どう?」 リカはビールを一口飲んでから口を開いた。 「今度の新しいプロジェクトあるでしょう?」 詳しくは知らないが、課をまたいで発足した支店内の新しいチームで、リカの不倫相手の課長がそのプロジェクト課と兼任で課長をする事になったという話だ。 リカは続けた。 「部長から、今度のプロジェクトが成果をあげるかどうかによって今後の昇進とかにも影響が出てくるって言われてるらしいのね。」 「うん。」 「それで足の引っ張り合いの餌にならないように身辺は綺麗にしておけって言われたって。」 「部長からそう言われたって言うの?」
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