ヒロアキ

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「そう私に言うって、私とは終わりにしたいのかなって…そう言いたいのかなって思っちゃって。」 「そうなの?聞いてみた?」 「聞けなかった。」 「だよね。」 私もビールを一口飲んだ。 「聞けないよね。」 私は独り言みたいに言い添えた。 しばしの沈黙。 私の携帯が振動している。 「ミサキ?電話なってない?私のじゃないよ。」 「ああ、いいのいいの。」 「私に気にする事ないよ、出て、出て。」 「そうじゃなくて。いいの。誰かわかってるから。ちょっとしつこくて。無視してるの。」 「誰?私知らない人?」 「うん。」 リカは半分ふざけて 「何?ストーカー?」 と笑いながら言った。 「うん。」 と私は真面目な顔で答えた。 「ちょっと、大丈夫?」 リカは怪訝な顔をした。 「大丈夫。それより今はリカの話。」 と私は促した。リカは話し出した。 「私とすぐに終わりにしようっていうのではないと思う。」 リカは続けた。 「ただ私の気持ちをセーブさせたいんだよ、きっと。熱くなりすぎないように。」 私は黙って聞いていた。 「そんなこと言われても。熱くならないようにセーブ出来るものならしてるよ…」 「セーブか…出来るものならしてるよね。」 リカの気持ちは手に取るように理解できた。
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