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この頃から私は他の男とも関係を持つようになった。次々とヒロという男と関係を持った。
ヒロというだけであとはほとんど見知らぬ男と関係を持つ事への抵抗がどんどんなくなっていった。一度きりの事もあり数回の事もあった。
誰とも長くは続かなかった。
私は男の身体、筋肉、胸板といった肉体そのものを渇望し、男は私の身体に陶酔した。
身体は満たされても満腹をしらずますます飢えていくようだった。
欲望のままに抱かれれば抱かれるほど私の何かが崩れ落ちていった。
体が絶頂に震える一方で何かえぐられるような絶望感に襲われた。セックスは言ってみればダンスやスポーツと同格になっていった。
行為が終わってしまえば行き場のない孤独な魂は「また違った」という失望をいやというほど味わうだけだった。
それをわかっていても私は麻薬のように男の体を求めた。失望するだけとわかっていても、ヒロという男に会い続けた。
錯覚だとわかっていた。
それでもヒロを語る男が私の体を愛撫しているとき、愛されているような錯覚をしてのめり込んだ。喘ぎながら「ヒロ」と呼びかけていた。
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