ヒロアキ #2

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コンビニで新製品のアイスと水を買って小さな袋をぶら下げながら急いで家に帰った。 玄関の鍵をかけチェーンもかけた事を確かめてからコートを脱いだ。 バスタブにお湯を張った。寒くてシャワーでは凍えそうだ。 アイスを冷凍庫にしまい、部屋着に着替えて着ていた服をハンガーにかけた。煙草臭いので部屋の隅のフックにかけておくことにした。 デジャヴュのようにヒロアキの部屋に吊してあったスーツが思い浮かび気持ちが沈んだ。 あの部屋でしたこと。 よく知りもしない男の部屋で食事を作り、一緒に食べ、一緒に寝た。セックスの仕方が途中から嫌になったがはじめは私も楽しんでいたのだ。決してレイプされたわけではない。合意の上でのセックスだったのだ。それにあんな無防備に部屋に上がり込んではレイプされたとしても何も言えないだろう。 またしても後悔に苛まれた。 ちょうどそんな事を考えていると電話がかかってきた。 ヒロアキだった。 私は電話に出た。 無言の相手に向かって私は謝った。 「本当に悪い事をしたと思ってる。謝るわ。ごめんなさい。」 「悪いと思ってるなら俺の言うことを聞けよ。」 「もう会わない。」 「そんなわけにはいかないんだよ。明日うちに来い!」 「無理。会社だし。」 「それならあさって来い。」 「お願い。許して。悪かったのは謝るから。」 泣きながら懇願した。 「必ず来いよ、土曜日。」 「行けない、行けない、行けない…」 電話はぷつっと切れた。
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