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結局のところ最終的には自分の問題ではないかと思った。
この場合、パンドラの箱を開ける事は失う事を意味する。
本当に大切で守りたいものならあえて知る必要があるのか?
それをどうするか決めるのは私自身の問題だ。
もちろん私は晃司を失いたくない。ならば、このまま何も聞かなかった事にすればいいんじゃないか?
そう考えた。
でも…。
もし私の見ているものが間違っていたとしたら…
私が新しく始めようとしている事に私の知らない裏があって、騙されるか利用されるかして、後でどん底に落とされるような事になりはしないか?
疑惑をおさえこむ事ができなかった。それはどんどん膨らんで私を飲み込んだ。
晃司が女の子と会っていたという事実そのものより、私はまた自分の目が曇っていることに気づかずに愚行を繰り返しているのではないかという疑念が私を苦しめていた。
そう考え出すと、たとえパンドラの箱を開ける事になったとしても、真実を確かめないではいられなかった。
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