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そんな競争をかうつもりは毛頭なかった。私は始めから妹と同じテーブルで競い合うつもりはないので悔しいともなんとも思わない。
それを妹は余裕を持っていると思っているらしく、それが余計にシャクに障るらしい。
「お姉ちゃんほどの人が未だに結婚出来ないなんて不思議ね。今まで誰かいなかったの?」
なんてことをいつも平然と言ってのけた。
ヒロとの婚約が駄目になった時、私が受けたダメージはどれほどの破壊力だったかを知っていながらだ。当てつけで言っているのは見え見えなので、あえて自らタブーに触れてみた。
「いたけど駄目になったのは知ってるでしょ。」
家族中に気まずい空気が流れた。特に義弟は居心地が悪そうだった。それでも妹は攻撃をやめなかった。
「あのシンガポールの彼と結婚出来れば良かったのにね。」
そこまで言うとさすがに母親に
「よしなさい。」
とたしなめられた。
私は黙っていた。
妹は現在の私たちの状況が愉快でたまらないのだ。
最近では、実家に帰れば不愉快な妹の態度が待っている事に私はうんざりしていて、ますます足が遠退いていた。
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