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店を出て歩き始めた。
商業地域が終わり住宅街に入ると人影はほとんどなくなった。
大晦日のこの時間、いつもの夜より心なしか静まり返っているような気がした。
晃司とぴったり寄り添い歩いた。二人の吐く息の白さが寒さを際立たせていた。
「寒い。」
私が言うと晃司が着ているジャケットで私をすっぽり包み込んでくれた。
「ありがとう。大丈夫だよ。」
と私は言った。
5分ほど歩いたところで晃司の足が止まった。
駐車場がついた2階建てのアパートの前だ。
「ここ?」
私は聞いた。
「そうだけど。あれ?」
と言いながら、晃司は2階への外階段を足早に上って行った。私も慌てて付いていった。
2階の一番奥が晃司の部屋らしかった。晃司は玄関前まで行くとすぐに鍵穴に鍵を差し込み勢いよくドアを開けた。室内が明るい。誰か人がいるらしかった。
晃司は開けるなり
「やっぱりお前か。」
と言った。
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