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目の前にはドアの開く音にびっくりして慌ててとんできた様子の女の子がいた。若くてとても綺麗な…
(ああ…そうだったんだ。この子がきっと例の女の子に違いない。ああ、やっぱり…)
「お前、ここで何やってんだよ?この前、鍵、俺に帰したよな?まだ他にも持ってたのか?」
晃司が問い詰めた。
女の子の後ろから若い男が出てきた。
晃司をみて
「あ…」
と一声出したきり、気まずそうに黙り込んだ。
女の子は一瞬私のほうを一瞥して不思議そうな表情を見せた。そして
「いいじゃん。留守だったんだし。いない間くらい使わせてもらったって。」
と言った。
晃司は
「いい加減にしろよ。人の家に勝手に上がり込んで。人の家をホテル代わりに使うなって言っただろ?」
と女の子を睨みつけた。晃司は男のほうも見たが無視する事に決めたらしかった。
「とにかく今すぐ出ていけ!鍵は渡していけ。全部だぞ!」
と晃司は怒っていた。
私は何がなんだかわからないまま、事態を傍観していた。
「わかったよ。もう帰るよ。帰ればいいんでしょ。そんな怒んなくてもいいじゃん。」
「行こ」と男に向かって言った。
それから奥の部屋に戻って、バッグとコートと口のあいたスナック菓子の袋を抱えて出てきた。
若い男もそれに続いた。
「鍵、返せよ。」
と晃司がまた言った。
「はいはい。」
女の子はブーツを掃き終わるとバッグの中をゴソゴソ掻き回して鍵を見つけると晃司に渡した。
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