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「だって、すごく可愛いじゃない?」
私が言うと
「そうか?」
と晃司は言った。
「あいつ、したたかで生意気で可愛いげのかけらもないぞ。おまけにものすごい嘘つきで、だらしないときてる。あいつのせいで俺は…
とにかくあんな奴と付き合う男も男だ。」
と憎々しげに言った。
「この前、駅ナカで会ってた?」
確かめたかった。
「うん。鍵を返させたけど、まだコピーして持ってたみたいだな。」
晃司は言った。
偶然の遭遇で私の疑念は晴れた。ほっとした。
「なんで知ってんの?」
晃司が聞くので、私はリカが見かけてカップルだと誤解した事を説明した。
「なんでその会話の時、カップルじゃないよって否定しなかったの?」
と晃司は聞いた。
「だって…」
と私は言った。
「だって、もしかしたら私、二股かけられてるのかと思ったから。」
「そんなはずないじゃん。なんですぐに俺に聞かないんだよ。」
晃司は言った。
「聞けないよ。怖くて。
晃司まで…晃司まで違ったらどうしたらいいかわかんないもん。
今までいろいろ痛い思いしてきたから。もうがっかりしたくなくて…自分が悪いんだけど。
ごめん。疑って…」
私は言った。
「ミサキ。」
晃司は真剣な顔で言った。
「俺は絶対にミサキを苦しめるような事はしないから。ミサキを泣かすような真似はしないから安心して。
俺のこと、信じて。」
そう言うと私をギュッと抱きしめた。
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