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ある晩、食事の仕度をしていた私は、突然ひどい立ちくらみに襲われた。
晃司は仕事で不在だったため一人で台所の椅子に座り込んだ。
しばらく休んでから続きに取り掛かろうとしたが、立ち上がるとくらくらしてどうにも気分が悪かった。
また椅子に座り込んだ。
心臓がゆっくり、大きくどきりと打った。
(今月の生理が少し遅れているかもしれない…まだ来ていない。でも、まさか…)
そのことに思いあたると、いてもたってもいられず急いで上着を手に取りコンビニに向かった。
少し恥ずかしい気もしたがそれどころではない。妊娠検査薬を手に取ってまっすぐレジに向かった。急いで家に戻った。
パッケージを破り、説明書を見ながら指示通り試した。
その間、鼓動は痛いほどで、待っている時間は胃が差し込むようだった。
どうか勘違いでありますように…。そんなはずないと思う。
まだ妊娠する訳にはいかなかった。
両親の激怒は容易に想像出来た。私たちはまだ同棲を始めたばかりだ。それすら親の知らないところだ。
親はともかく、二人の生活はまだ軌道に乗ったとは言えない。
妊娠はハードルだ。
間違いであって欲しかった。
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