意味のあるもの #2

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「ただいま。」 いつものように深夜遅く、晃司は帰宅した。心なしか声にも疲れが滲んでいる様子だ。 晃司のような仕事は年末ほどではないにしろ3月、4月のこのシーズンは忙しいらしかった。 「おかえり。お風呂?それともビール?」 と私は言った。 「先、風呂入るよ。ミサキ、調子どう?寝てていいよ。」 晃司は言った。 「うん。大丈夫。眠くないから待ってる。」 私が言うと 「俺のことなら気にしないでいいよ。じゃ、さっと入ってくるから。」 と晃司は言ってバスルームに消えた。 晃司が風呂から出たので冷蔵庫から缶ビールを出して渡した。 「サンキュ。ミサキは今日は飲まないの?」 「うん。」 と私は答えた。 「体調、良くないの?」 晃司が聞いた。 私はそれに答えず切り出した。 「晃司、話があるの。」 私の真剣な様子に晃司も身構えたようだった。 「何?」 「今日、病院行って来たんだけど。」 「うん。」 私は少しためらった。 「何?どこか悪いの?」 晃司が顔を曇らせながら聞いた。 「違うの。産婦人科に行ったの。」 「え?」 「私、妊娠した。二ヶ月だって。」 「え?」 そのまま晃司は絶句した。
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