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私たちは結婚した。
困難は抱えるほどあった。
まずは経済的な問題。
二人で働かないときついので私は出産近くまで働いた。
晃司は蔵之介に相談して出勤時間を少し遅らせてもらい、朝、運送会社でアルバイトをしてから店に出るというタイトな生活を始めた。
少しでも足しになればと、私が晃司の健康を心配するのをよそに、毎日朝から深夜まで働いた。
「俺、まだまだ若いんだから平気だよ。鍛えてきたし。」
と晃司は笑ってみせたけれど、毎日疲れているのはわかっていた。
私の親は案の定、激怒して私を勘当した。
私のしたこと、すべてが両親がこれまで慈しみ育ててきた事に対する裏切りだと言った。
高卒で水商売をしている年下の男と同棲した挙げ句、子供が出来たなど到底許せる事ではないという事だ。母親は泣いて私をなじった。
晃司は黙って私の両親の侮辱に耐えていた。
私は話し合うつもりはなかった。これ以上両親に晃司を馬鹿にされたり見下されるのには我慢ならなかった。
勘当されてほっとした。
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