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ステージで、マイクを持ったボーカルが言う。
『今日、みんな、知ってると思うけど、
カサスの最後のステージ!』
スポットライトがカサスさんに当たると、
カサスさんは、そこで、キュっと音を鳴らした。
大きく手を振って、スタンドマイクに向かう。
『今までありがとう!
このバンドは今日で終わりだけど、
まだ、音楽は続けていくから
応援よろしくな! 』
カサスさんの低い声は、この二人のヴォーカルよりも、存在感がある気がした。
『カサスは、
今度の金曜深夜のMスタジオ出演するんだって。
見てやってな。』
とメインのヴォーカルが言と、
会場がおーーーーっと盛り上がった。
え?
Mスタジオ??
あのMスタジオ?
私でも知ってる音楽番組。
なになに?
そんなところに出ちゃうような、
人だったわけ?
『くっそー。俺も出てー!』
とサブのボーカルが嘆くと、笑いが起こる。
『よろしくな!』
とカサスさんが手を振る。
ステージが少し沈黙に包まれて、
ヴォーカル同士が顔を合わせた。
『ここでサプライズ。
特別ゲスト~!!
カサスの新ユニット
「DIME(ダイム)」のHIRO!!』
とヴォーカルが叫ぶと、
今日で一番ってくらい会場が大きく盛り上がる。
え?
HIROってヒロ?って言った?
高杉!?
横にいるはずの高杉を見ると、
私の横にはもういなくて、
ステージ脇から、出てきたのは、
まぎれもなく高杉だった。
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