すれ違い

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大学の敷地内にある、 男子寮の前に立ったのは、 朝8時。 こんな時間、 大学の授業があってもなかなか来ないのに、 正志さんとすれ違っちゃいけないと思ったら、 つい早くなった。 もちろん、 昨日のことにも罪悪感があって、 一刻も早く会いたかったってもの……。 寮の前から、 正志さんのケータイに電話する。 『…… 電波の届かないところに…… 電源が入っていないため……』 のアナウンス……。 まだ、寝てんの? 仕方ない、 亮史のケータイに連絡してみた。 ……出ない……。 二人してまだ寝てんのかな? 寮の前の植え込みの段差に座って、 しばらく待つことにした。 休みの土曜日の朝早くに 男子寮から、出てくる人もいなくて、 誰かに聞こうと思っても聞けない……。 一応女子として、 中に入っていくわけにもいかない……。 ようやく人が出てきたのは、 寮について30分も経ってから。 見たことない、男子学生が二人並んで出てきたところに声をかけた。
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