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家には帰りたくなくて、
街を彷徨った。
なんとなく入ったCDショップ。
思ったよりも目立つ位置に、飾られていた
DIMEのデビューシングル。
こんな時も、高杉に目がいってしまうなんて……。
視聴の再生ボタンを押す。
ヘッドフォンから聞こえてくる高杉の声。
甘くて切ない声は、弱った心に浸透してく。
高杉の声、反則だ。
部屋で言われたセリフが頭の中でこだまする。
『どんな慰め方でも、文句言うなよ』
『捨てられてこい』
捨てられたわけじゃない。
高杉に慰めても欲しくない。
からかいの混じった高杉のセリフが、
頭から離れていない。
視聴の曲を聴きながら、
人前でボロボロ涙をこぼす私は、
周りから見たら、きっと滑稽だったんだろうな。
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