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「クリスマス終わっちゃったじゃん」
そうつぶやいて思い出した。
冷蔵庫の中のケーキ。
ホールのまま冷蔵庫で眠っていたケーキを取り出して一人でナイフを入れた。
みんなで食べるはずだったケーキは、
一人で食べてもなんだか味気なくて、
高価なチョコレートケーキなのに、
苦味だけが口に残った。
もう夜中なのに、いろんなことがあったせいで、全然眠くならない。
このまま高杉の帰りを待っていようとコーヒーを淹れた。
高杉から連絡が来たのは、そんな時。
『真琴、起きてる? 今日、外出た? 誰かいなかった?』
甘くもないメール。
誰かって、ファンとか?
特に被害はなかったけど、正直に書いてみた。
『まだ寝てないよ。
女の子二人に「同居人ですか?」って声かけられたけど、ファンの子かな。
違うって言っといたよ。まだ帰らないの?』
高杉からの返信はやはり早くって、
仕事はもう終わってるのかもしれないって思った。
『実は、そっちに帰るのを止められてる。
真琴にこっちに来てもらいたいけど、
何かあってもいけないし、
振り切って帰ってもいいけど、周りに迷惑をかけるわけにもいかない。
迷ってる』
そっか。
帰ってこれないかもしれないのか。
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