実家

5/17
前へ
/40ページ
次へ
ちょうどその時、スマホがメッセージを着信した。 さっき高杉に、無事実家についたことを報告したんだった。 『おつかれ。実家で浮気してくんなよ』 フッ。 そんな器用なこと出来るわけないじゃん。 『前、好きだった人と会うし、してくるかも(笑)』 高杉とのやりとりは、 相変わらず、バカみたいな内容ばかり。 確かに年明けには同窓会があって、 高校時代のクラスメイトと集まる予定で、 好きだった人といっても、 ほんの少し気になってたくらいで、 付き合ったりは全然してなかったし、 向こうも私が気にしてたことすら知らなかったはずだ。 そんなメッセージを書いている最中、 「何、にやけてんの? 新しい彼氏?」 横から、覗き込みそうなくらい近くで、晶が鋭く突っ込む。 「まぁ、ね」 「へぇ……。ねーちゃん意外すぎる。写真ないの?」 晶はニヤリと笑う。 「ないよ」 写真なんてない。 まともなデートは一度しかしてないし、 高杉の写真だけならネットを探せばあるだろうけど、 そんなの見せたら何言われるかわかんないし。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

858人が本棚に入れています
本棚に追加