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階段の下からお母さんの声が聞こえる。
「ゴロゴロしてばかりいないで、大掃除を手伝って!」
重い気持ちを引きずったまま、
仕方なく立ち上がり、
掃除を手伝うことにした。
「窓ふきお願い。バケツに水くんどいたからね」
人使いの荒いお母さん。
晶もちゃっかり外側から窓を拭かされている。
外はすごく寒いから、
私の方がまだマシか……。
寒そうな晶を横目で見ながら、掃除を始めた。
どうにもならない、悩みがあるとき、
体を動かすのは、いい気分転換。
掃除を始めると、嫌なことを考えずにいられる……。
そう思いながら、掃除に励んでいた。
ポケットに入れていたスマホから着信音がなった。
きっと高杉からだ。
雑巾を置き、ポケットから取り出そうとした。
その時。
ツルン・・。
と本当に音がしたような気がするほど、
鮮明な手の感覚。
手から滑って落ちていくスマホを
私は、スローモーションのように見ていた。
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