実家

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新しいスマホを手にしても、 全く嬉しくない。 「一生連絡取れないわけでもねーし。 何そんなに落ち込んでんの? 彼氏から連絡あるっしょ」 晶に慰められても、浮上できないまま、 時間だけが過ぎていった。 高杉からは、それからなんの連絡もなくて、 新しいスマホには、誰からの着信もないまま、年は明けていった。 一つ、気づいたことは、 高杉とはいつもLINEで連絡ばかりしていた。 それでも、不便なことはなかったから、 今まで電話をかけたことはなかったかもしれない。 だから、もしかして高杉は、私の電話番号を知らない……? あのアパートを契約するとき、 まだ「高杉裕美」が男だって知らないときから、メッセージのやり取りはしていた。 だけど、 電話番号は登録していなかった気がする。 高杉だって突然連絡が取れなくなったら 、変に思うはずだよね? そうじゃなかったら、連絡くれるよね?
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