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正志さんの声だ。
海外に行くって聞いてから1週間ちょっと経ってる。
「帰ってきたの?」
「あぁ。今、成田。予定より早く帰って来れた。真琴、まだ東京?
実家にはまだ帰ってないよな?」
「あ、うん。実家は明日から……」
正志さんの口調は、優しくて穏やかで、
以前と全然変わりはない。
正志さんのことは、昨日の出来事で頭から抜けてたけど、ちゃんと話をしないといけない。
「じゃあ、今日、これから出てこれる?
もう冬休み中だろ?」
「や、えっと……」
いきなりすぎて、心の準備もできてない。
「聞いてやるよ。真琴の話」
少しだけトーンを落とした正志さんは、
静かに言った。
話って……
私の話の内容を正志さんはもうわかってる。
それでも、聞いてくれるんだ。
「わかった。どこに行けばいい?」
告げられたのは、
19時
以前一緒に、よく行った駅。
その近くにご飯を食べに行ったことあったな。
懐かしい思い出が、頭をよぎった。
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