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「来てくれて、ありがとう……」
連絡が取れなくなって、
ここまで高杉を焦らせたは、
全部、私のせいだ。
「この借り、今からたっぷり返してもらうから」
フッと口角を上げ、再び私の体に手を這わせる。
これで終わりじゃ、ないんだ……。
体、持たないかも……。
「ちょ、ちょっと待って。
私、晶にメール……」
高杉の腕を制して、ベッドサイドのテーブルに置いてある私のスマホに手を伸ばす。
メッセージ着信15件。
音声着信3件。
今まで、ウンともスンとも鳴らなかったスマホが、いきなり人気者になったかのような表示。
不服そうな高杉を尻目にスマホを確認する。
「そうそう、晶に真琴の番号聞いたから、電話したんだけどな。 出ねーし……」
高杉は、ボソっと言った。
そういえばいつの間にか、弟は晶の呼び捨てだ。
メッセージはほとんどクラス会に来てた同級生からだった。
最後のメールは親友の朝香からで、
『アウディいいな~!
今度、彼氏、絶対紹介してね!』って。
高杉が乗ってた車が、バレてる。
どこで見てたんだろ……。
音声着信は、登録されてない番号から。
「これが高杉の電話番号?」
画面を見せながら、確認する。
「あぁ、たぶん。自分の番号覚えてないけど」
そっか。
3回も電話してくれてたんだ。
「ちゃんと登録しといて。
後でいいけど、もう一回LINEも教えて」
「うん」
今度こそ連絡が途切れないように、ちゃんと繋がろう。
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