初めての夜

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「……何、服着てんの?」 寝起きのかすれ声。 甘い夜を過ごした後の第一声がそれ? 全然、甘くないし……。 その一言で、ちょっとムスっとしながら 「もう10時過ぎたけど、 チェックアウト、11時じゃない?」 私も甘さもなく、早口で言う。 「……。あぁそっか。めんどくさい」 と再び、大きく伸びをする。 「私もさすがに実家に戻らないといけないし。高杉も今日、東京帰るんでしょ?」 「うーん。明日から仕事だからなぁ……」 しぶしぶベッドから起き上がると、服を着始めた。 「私も帰ろうかな。東京……」 ぼそっとつぶやくように言った。 高杉が引越しで離れてしまうとしたら、 少しでも長く一緒にいたい。 高杉は、下着をつけただけの状態で、ベッドに腰を掛け、 「来て」 と私に向けて、両手を広げる。
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