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部屋を出て、
ホテル内のカフェでブランチを取りながら、
今日のこの後のことについて話をした。
私は高杉の乗ってきた車で、
東京まで一緒に帰る気になってたけど
「親孝行は、出来るときにしといたほうがいいよ」
高杉は少し遠い目をしながら、そんなことを言い出した。
「私が一緒に帰ると迷惑なんだ?」
「なわけねーだろ?
だけど、家族で過ごす時間も大切だからな」
そう言うけど……。
なんでだろ。
私が近くにいると迷惑なのかな……。
もしかして、高杉って、
釣った魚に餌をやらないタイプで……
一度してしまったらもう興味を失うとか……。
あの前科を考えるとそれも有りかもしれない。
ちょっとだけ不安な気持ちでいると、
高杉は話し始めた。
「もう、二年前かな。
俺の両親、二人とも事故で死んだから。
孝行したい時には親はいないってやつ?」
「…………」
突然そんなことを言い出すから、驚いて声も出なかった。
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