家族

2/10
前へ
/38ページ
次へ
部屋を出て、 ホテル内のカフェでブランチを取りながら、 今日のこの後のことについて話をした。 私は高杉の乗ってきた車で、 東京まで一緒に帰る気になってたけど 「親孝行は、出来るときにしといたほうがいいよ」 高杉は少し遠い目をしながら、そんなことを言い出した。 「私が一緒に帰ると迷惑なんだ?」 「なわけねーだろ? だけど、家族で過ごす時間も大切だからな」 そう言うけど……。 なんでだろ。 私が近くにいると迷惑なのかな……。 もしかして、高杉って、 釣った魚に餌をやらないタイプで…… 一度してしまったらもう興味を失うとか……。 あの前科を考えるとそれも有りかもしれない。 ちょっとだけ不安な気持ちでいると、 高杉は話し始めた。 「もう、二年前かな。 俺の両親、二人とも事故で死んだから。 孝行したい時には親はいないってやつ?」 「…………」 突然そんなことを言い出すから、驚いて声も出なかった。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

901人が本棚に入れています
本棚に追加