家族

4/10
前へ
/38ページ
次へ
そのあと、 またあの派手な車に乗ってドライブをした後、 夕方、実家まで送ってもらうことになった。 この車、 夜ならいいけど昼間はなんだかすごく目立って、乗り心地悪いんですけど……? 実家に近づくにつれて、お互い無口になっていく。 あと一つ、引っかかって取れない不安。 やはり、今、聞いておかなきゃいけない。 「引越しの件は……本当なの?」 信号待ちで車が停まっているとき、できるだけ冷静を装って、話を切り出した。 だけど、内心すごく怖くて、この話を切り出すのにすごく勇気が必要だった。 『あぁ、だからもうお別れだ』 なんてサラっと切り返されたら、 きっと立ち直れない……。 私の言葉に、高杉は表情を崩さずこちらを伺う。 「俺の送ったメッセージ、 見てないよな?」 そういう、高杉の声は動揺しているとは思えず、いたって冷静だった。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

901人が本棚に入れています
本棚に追加