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晶に聞いた話では、
父は今日が仕事始めで、
母もちょうど今出掛けているらしい。
高杉が挨拶するにも晶しかいない。
「ま、とりあえず、上がる?」
「イヤ。いいよ。ご両親がいないなら……。
また今度くるから」
晶の前では、なんとなく大人ぶって、
普段はない爽やかさが満載だ。
また、車に戻って
出発しようとする高杉を見送る。
やっぱり、少しでも離れたくない……。
もっと一緒にいたい……。
言葉にはしなかったけど、顔に出てしまったかな。
高杉は、じーっと私の顔を見て、
耳元でそっと囁いた。
「キスマークいっぱいつけといたから。
人前で脱ぐなよ」
「うそっ」
いつの間に?
服の上から体を見るけど見える訳もなく、
その行為を思い出して、また顔が赤くなる。
私の慌てぶりに、満足そうに笑うと、
「じゃあ、気をつけて。
また連絡するな」
軽く手を上げて、車は発進した。
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