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「ただいまぁ」
無意識に言っていたけど、
高杉はまだ帰ってないのは、
電気がついてないからわかる。
久しぶりの自分の家の香り。
私と高杉の香りなんだよね……。
高杉が引っ越してしまったら、
香りも変わるのかな。
住む家が変わったからって、関係が終わるわけじゃない。
そう自分に言い聞かせているけど、
やっぱり寂しくて不安な気持ちは消せない。
出て行った時と変わらない、リビング。
いつもの習慣になっている冷蔵庫の前のホワイトボードの確認。
高杉からのメッセージはなかった。
自分の部屋に荷物を運ぼうとして、
リビングを抜けると、
変な違和感を覚えた。
あぁ。
いつもちゃんと閉まってる高杉の個室のドアが開いてるんだ……。
電気もついていない
高杉の部屋の中を
チラリと覗き込んで、
頭が真っ白になった。
「……」
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