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「私、スマホ壊しちゃって……」
「あぁ、さっき真琴の弟から聞いた」
「え?晶に?会ったの?」
驚いて、顔を上げて、高杉を見つめる。
回した腕は離してくれなくて、今にも顔がくっつきそうなくらい近い。
「さっき真琴の家行ったら、弟が出て、
クラス会の会場教えてくれたのも、弟」
「そうなんだ……」
「どれだけ探したと思ってんの?」
高杉は私の鼻をグイっとつまむ。
「イタっ……」
「連絡取れなくなって、まじで焦って。
出身校は前に聞いたことあったから、
こっちに来て、高校行って、たまたまいた空手の子に真琴の家聞いて、
弟にクラス会の会場聞いて、
そこにもういなくて、
2次会の会場はたぶんココだろうって聞いて」
気の遠くなるようなここまでの過程……。
そこまでして、私を見つけてくれたんだ。
この正月早々、
たまたま学校にいた空手部の子に感謝だ。
「会えてよかった……」
高杉は回してる腕に力を込めて
私の頭に顔をうずめ、大きく深呼吸した。
コクンとうなずく。
私も気が気じゃなくて、明日には東京に帰ろうと思ってた。
まさか本当に会いに来てくれるなんて、夢にも思ってなかった。
「ありがとう。来てくれて」
「とっとと住所教えてくれれば
こんな苦労しなくてよかったのに。
高校で不審者に間違われそうになったし……」
ブツブツ文句をいいながらも、声は優しくなっていく。
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