再び上京 #2

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「で?どーすんの?お客さん。 ここの物件、決めますか?」 高杉は改まって、業者風に私に聞く。 「うーん……」 「人気物件だしな。 早く決めないと、すぐ埋まりますよ?」 ニッと余裕で笑顔を浮かべる高杉には、もう私の返事をわかってるんだよね。 「仕方ない…… 次にいいところが見つかるまでは、 よろしくお願いします……」 私は高杉に向かって深々と頭を下げた。 「他の物件、一生、見つからなくてもいいし」 ボソっとつぶやいた高杉の声をちゃんと聞き逃さなかった。
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