再び上京 #2

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玄関の扉が控えめにカチャリと開く音がした。 「真琴?」 という高杉の探るような声で、 私はベッドからのっそりと起き上がって、リビングに向かう。 「高杉……」 手にはさっきまで眺め続けていたスマホのライトがまだ光っている。 高杉は私の顔を見て、フッと表情を緩めた。 「真琴、おかえり」 ゆっくりとした口調で、やさしく目を細めて私に近寄る。 高杉に会えて、 高杉は優しい顔をしてても、 私の暗くて重い気持ちは浮上していかない。 「どうした?泣いてんの?」 私の緩まない表情を見て、高杉は一瞬近寄る足を止めた。
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