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高杉は周りも気にする様子もなく、
玄関の外に出ても私の手を引っ張っていく。
ファンの子がもし見ていたら大変なんじゃない……?
心配になっているのは私だけなのかな。
あの事件で少しは反省したかと思ったけど、
大胆なのは変わってない。
それに、引越し先までの道のりは遠いのかな。
学校から離れてしまうのかな。
離れたとしても、高杉と一緒にいれるなら、私はついて行きたい。
そんなことを漠然と思いながら聞いた。
「今日はバイク?車?」
「今日は徒歩」
高杉は平然と言った。
徒歩で行ける距離ってことかな。
そんなに近いの……?
今までのアパートから、10分くらい歩いたかな。
「ここ」
と言われ、見上げた物件はアパートというより高級マンションだ。
入口はオートロックで、セキュリティーもしっかりしてそう。
それに、今までよりも、大学にも駅にも近い。
「高いんじゃないの……?」
物件を見上げながら聞いた私の質問には答えず、高杉はポケットからカギを取り出して、入口の扉を開ける。
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