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医務室は、カーテンで仕切られているだけの狭いスペースで、
待機していた医療担当のスタッフの女性に、
簡易ベッドに横になるように勧められた。
心音や血圧を測ってもらったけど、特に大きな異常はないようだ。
「ちょっと休んでてね。しばらく様子を見ましよう」
柔らかい声のスタッフ。
「あ、もう大丈夫だと思うんですが……」
上半身を起こそうとしたけど、
「まだ、寝といた方がいいって」
正志さんが私の左肩を軽く押し、寝かせつける。
正志さんは、いつのまにか医療スタッフと入れ違いに、
ベッドの横の椅子に腰をかけていて、
亮史は、その横に立って心配そうに私を見下ろしてる。
正志さんとの距離が近い……。
視線を合わせるのを避けるように、
私はゆっくりと目をつぶって、大きく深呼吸して、気持ちを落ち着けた。
負けたこともショックだったけど、
こんな風に、人にまで心配をかけてしまった事の方がショックだ。
情けないな。
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