1453人が本棚に入れています
本棚に追加
「高杉、待って。いいの?
事務所とか寄らなくて」
一人でさっさと階段を上っていく高杉の横に並ぶ。
「いいんだよ。
今日の仕事、終わりって言ってたし」
ブスっと不機嫌そうな声。
なんで機嫌を損ねたのか全然心当たりがないのだけど……。
外に出ると辺りはもう暗くなっていたのに、
高杉は革ジャンに引っ掛けていたサングラスをすっとつけた。
「どしたの?急に……」
ほっとくと先に行ってしまいそうで、
高杉の腕に私の腕を絡めると、
ようやく立ち止まって、私の顔を見てくれた。
サングラスをしてるから表情はよく見えないけど、
「あんなの反則だろ。
みんなが見てる前じゃ、さすがに押し倒せねー」
「え……?」
それだけ……?
「真琴、煽り過ぎ」
イヤイヤ、煽ったつもりはないから……。
「とっとと帰ろーぜ。家に」
高杉は、また足を早めるから、
置いて行かれないように、私は高杉の腕にしがみついた。
最初のコメントを投稿しよう!