元カレ #2

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「高杉、待って。いいの? 事務所とか寄らなくて」 一人でさっさと階段を上っていく高杉の横に並ぶ。 「いいんだよ。 今日の仕事、終わりって言ってたし」 ブスっと不機嫌そうな声。 なんで機嫌を損ねたのか全然心当たりがないのだけど……。 外に出ると辺りはもう暗くなっていたのに、 高杉は革ジャンに引っ掛けていたサングラスをすっとつけた。 「どしたの?急に……」 ほっとくと先に行ってしまいそうで、 高杉の腕に私の腕を絡めると、 ようやく立ち止まって、私の顔を見てくれた。 サングラスをしてるから表情はよく見えないけど、 「あんなの反則だろ。 みんなが見てる前じゃ、さすがに押し倒せねー」 「え……?」 それだけ……? 「真琴、煽り過ぎ」 イヤイヤ、煽ったつもりはないから……。 「とっとと帰ろーぜ。家に」 高杉は、また足を早めるから、 置いて行かれないように、私は高杉の腕にしがみついた。
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