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しばらく経ってから、
私はゆっくり目を開けて正志さんを見た。
覗き込むように向けられている視線が、心苦しい。
「迷惑かけてごめんなさい。
でも、もう大丈夫」
出した声は、もう弱々しいものじゃなくて、
普通に出せてる。
きっとたいしたことはない。
フゥっと大きくため息をついてから、
正志さんは亮史に向かって言った。
「亮史、悪いけど荷物持ってきて。
俺のと真琴の。
あと、渡部の試合終わったら真琴がここにいるって伝えといて」
「あ。ハイ」
正志さんの指示で、亮史は医務室を出て行く。
医務室には、もう一人、腕を痛めたらしい選手がいて、医療スタッフの女性はそちらの処置を始めたところだ。
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