元カレ #2

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正志さんは私のおでこに手を当てようとして、ギリギリのところで止めて、また引っ込める。 そしてゆっくりとした口調で聞いてきた。 「……今日、あいつはこれないの?」 「……高杉のこと? こないよ。仕事だって」 「そっか」 「私、もう全然大丈夫だよ。 立てるし歩けるよ」 私が上半身を起こそうすると、また正志さんの腕で制された。 「寝とけって」 困ったように笑う。 でも、これ以上心配かけたくない。 「だって……。 正志さん、渡部主将の引退試合を観に来たんじゃないの? 行ってあげなきゃ、終わっちゃうかも。 だから……」 「置いてけないよ」 私の言葉を遮るように言った。 「私は大丈夫。亮史が戻ってきてくれるし、 ちょっとだけでも、行ってきて」 「……俺が、ここにいたいんだけど。 やっぱ迷惑かな……」 さっきは私に触れるのを躊躇してた手の平を、今度は躊躇することなく私の頬に近づけ触れた。
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