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あったかい手。硬い指。
私の好きだった太い腕。
だけどこの腕に
もう頼るわけには行かない。
私は、頬に触れてる正志さんの手に自分の手を重ねてゆっくりと引き離した。
「手は……。
上田先輩の彼女に、申し訳ないです。
それに、高杉にも……」
私たちはもうあの頃に戻ることはないんだ。
いつの間にか以前の口調で話していた言葉も、敬語に戻した。
「……真琴は?
周りじゃなくて、真琴は、どう思ってんの?」
「私は……。私の気持ちは……」
ちょっとだけ言うのを躊躇した。
また傷つけてしまうかもしれない。
でも、ちゃんと言わないで、流されて後悔することはもうしたくない。
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