11.悟とのこと

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あの時のことは心に染み付いて消え去ることも薄まることもなかった。嵐の前の暗雲のように私の心に住み着いて私に悟を警戒させた。 時折今みたいにフラッシュバックしてあの日の恐怖を思い出す。私は玄関脇のスイッチを探って明かりをつけた。 お風呂に湯をはりながら入浴の準備をした。何も考えたくなかったから慌ただしく髪と身体と顔を洗いバスタブに浸かって出てきた。 今日は悟と顔を合わせたくなかった。私は悟が帰宅する前にベッドに入り努めて頭をからっぽにして寝てしまった。 しばらくして悟が帰宅したようだが私は起き上がることもせず朝まで眠り続けた。
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