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正美はほぼ毎日誘ってくれた。
「もう晩御飯は一人じゃなくてうちでみんなで食べることにしなよ。」
と言ってくれた
それ以来正美の都合が悪かったり私や池田にほかに予定が入ったりしていない夜は正美の家に集まって食事をした。
はじめのうちは池田と一緒に中尾も来ていた。しばらくして中尾に彼女が出来ると来なくなった。寂しい者ばかりが集まっていた。
ある時、例によって池田は正美の家でまたごろ寝をしてしまった。私は呆れてみていた。
「こんなふうに寝ちゃって泊まったの?」
私は正美に聞いた。
「うん。」
正美は寝てしまった池田を愛おしげに見ながら微笑んでいた。見つめる目に特別な感情が宿っているのを私の前で隠そうともしていなかった。
「好きなんだね。」
私はそっと言った。
「うん。」
正美は素直に認めた。
「泊まった時もなんにもないの。ただ寝ちゃって。私はちょっと期待してたんだけどさ。」
軽い調子で正美は言った。私は黙って聞いていた。
「どう思う?」
正美は私に応援してもらいたいんだろう。でも……
池田は幼なすぎるしおそらく正美のことを女として意識したことないんだろうと思われた。
もし付き合ったにしろ正美は気まぐれに振り回されて傷つきそうな気がする。
こんなに年下の彼のようなタイプと付き合うならそれなりの覚悟が必要だろうと思われた。
「茨の道かもしれないね。でも好きなんでしょう?」
それしか言えなかった。
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