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入ったラーメン店はしかもとんこつラーメンだった。私は匂いだけで酔いそうな気がした。
「とんこつかぁ。食べられるかなぁ。」
「俺はこっち出てくる前はラーメンって言ったらとんこつだったんだよ。」
「どこだっけ?」
「山口。」
「ふぅん。山口ってとんこつなんだ。」
「下関だからね。ほとんど博多だから。」
「そうか。私とんこつは食べたことない。元々ラーメン好きじゃないから、ましてとんこつなんて食べようと思ったことないし。」
「うまいのになぁ。食べてみなよ。食べられなかったら俺食べるから。」
「いいよ。食べる。」
私はしかたなしに一番あっさりしているというのを注文してみた。ラーメンはすぐに出てきた。
「いただきます!」
池田はおいしそうに麺をすすっている。私もなんとか頑張って麺だけでも食べようと思った。申し訳ないけれどスープは残すことにした。
「スープがうまいのになぁ。」
池田は言った。
「でも無理。」
私は店員を憚って小さな声で言った。
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