14.期待するから…

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しばらくそうして助手席にいると悟が戻ってきた。 「何怒ってんだよ。」 私に言った。 「別に。怒ってないよ。」 私は普通に答えた。これ以上不機嫌な顔をしているのは危険だと私の本能が告げていた。 経験上こういうムードは非常にまずい。喧嘩になってこんなところに置き去りにされるわけにはいかない。 悟は何かいいたげにしていたが気を取り直したように車をスタートさせた。 「さてと。なんか食うか。腹減った。」 「うん。」 「何がいい?」 「なんでも。車停めやすいとこでいいよ。」 私は言った。本当になんでもよかった。気分が落ちてしまって食べ物なんかどうでもよくなってしまった。 悟は国道沿いのファミレスに車を入れた。私も悟のあとについて店内に入った。
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