17.恐怖

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帰宅して風呂から出てきたら携帯に着信があった。池田だった。 正美の家で飲んだりするようになってからは池田と番号やアドレスは交換していたけれど電話がかかってきたことはなかった。 (なんだろう?) まだ悟は帰ってなかったし私は履歴から池田に電話した。2コールくらいで池田が出た。 「お風呂入ってたんだけどどうしたの?」 「俺も今風呂入ってきた。別に用事とかじゃないんだ。」 池田は言った。 「ただなんとなく急に一人になったら寂しくなって。」 いつになくらしくもないことを言うと思った。池田とこうして交流を持つ前は彼はいつも一人で孤独でつかみどころがないというイメージしかなかった。 こうして軽口を叩けるようになった今でさえ職場にいて忙しそうにしている時などは全身から「話しかけないでくれ」的なメッセージが出ているようで声をかけるのを躊躇してしまう。 「らしくないこと言うじゃん。」 私は言った。
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