17.恐怖

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「上がらないから、俺。」 池田はそう言って玄関先に立ったままでいた。 「そこの窓から覗いてたの?」 玄関を開けて台所脇の小窓を眺めてからまたドアを閉めた。 「目が合ったんだよ。ぞっとした。」 思い出してまたゾクッとした。 「来てくれてありがとう。缶ビールでも飲む?」 私は冷蔵庫を開けながら言った。 「いい、いい。何にもいらない。落ち着かないし。」 「門限大丈夫なの?」 ふと心配になって聞いた。 「うん。一応寮長に事情を話してきたから。万一遅れても大丈夫。」 「本当、わざわざありがとう。お風呂も上がってゆっくりしてたのに。しかも悟が帰って来たらこっそり帰ってもらうなんて。ごめんね。」 申し訳なくて本心から言った。 「だってそんなこと聞いたら恐ろしくて誰だって落ち着かないよ。彼氏がすぐ帰ればいいけどさ。一人じゃ怖いでしょ?」 「うん。ちょっとこわかった。」 「だから気にしなくていいよ。」 池田は言った。
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