17.恐怖

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「ここを通るってこの辺に住んでるヤツじゃないの?それかつけられてたか。あんまり通らないだろ?ここ。この裏にでも住んでるヤツじゃなきゃ。」 池田の言うとおりだった。このアパートは道路から奥まっている。玄関の前を通るのはここの住人か大家さんか、同じ大家が所有している別のアパートに抜ける道を知っている人間だ。 ほとんどこの辺りの住民しかここの玄関前を通ってどこかへ抜けられることなど知らないと思う。 初めてここに来た時はわかりにくくて散々迷ったものだ。池田は正美の家に行く時に一緒に行くので家の前で待っていてもらったことがあったから場所を知っている。 が、そもそもうちの前の道路だってこの辺りに土地勘がある者でないと通りかかるような場所でもなかった。 「そいつ、近くに住んでるヤツかもな。気持ち悪いな。」 「一階の角だから狙われやすいみたいだし。一人暮らしじゃないんだけどね。」 「でも彼氏は不在がちだろ?近くのヤツなら知ってるかもしれないよ。気をつけなよ。怖がらせるわけじゃないけどさ。」 「うん。」 あの気持ちの悪い目が、視線がまとわりついているようで寒気がしてきた。あの不気味な目の男はすぐ近所に住んでいるのかもしれない。そう思うと落ち着かなかった。
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