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悟は台所脇の小窓を開けてから外に出てそこから家の中を覗いた。
「そんなに見えないと思うけど。通りがかりにちょっと見ただけじゃないの?」
玄関に戻り靴を脱ぎながら悟は言った。
「でも目が合ったの。普通に歩いていてたまたま目が合っちゃったって感じじゃなくてじっと見られていた感じなの。視線を感じて目を上げたら目が合ったの。」
私は訴えるように言った。
「そうなの?」
そういう悟の目は私の話をいぶかしんでいるわけではないにしろ、ちょっと大袈裟なんじゃないのとでもいいたげな口調だった。
そう感じれば感じるほど私はあの時感じた恐怖をわかってもらおうと必死になった。
「バタバタとガラスを閉めたけど怖くなっちゃって。悟はいないし。友達に来てもらうには遅過ぎるし。」
私の話を悟は黙って聞いていた。
「近くに住んでるんじゃないかと思うの。こわいよ。悟、しばらく早く帰れない?」
「無理だよ。」
悟は即答した。
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