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あの時以来、用心しているせいか覗かれることも不審者を見かけたりすることもなかった。それでも池田はまるでボディーガードのように私とつねに行動をともにするようになった。
もちろん朝の出勤時や悟がいる日は話は別だ。でもそれ以外はほとんど一緒にいた。
頼んでそうしてもらったわけではない。私にとってはもちろん安心できるしありがたいことではあったがちょっと困ることもあった。
まず人目。噂にならないか気になった。私と池田はシフトが同じ時間帯だったから帰りはいつも一緒の時間だった。たいていは一緒に店を出た。
それに最近では昼休みはともかく午後の15分休憩の時に池田が一緒に行こうと私を誘いにくるのが習慣化していた。今も池田と一緒に休憩に出てきたところだ。
「正美を誘えば?変に誤解されたくないし。」
私は人目もさることながら、正美の目が気になっていた。
「いいじゃん、別に。休憩くらい。正美は接客中で出られない時もあるじゃん。川島さんはいつも暇そうだし。」
池田は憎まれ口をきいた。
「あのねぇ。暇って言わないでよ。」
私は弱々しく反論してみるが売場に比べれば暇なのは事実だ。まして午後の休憩の時間帯あたりはいつも暇だった。
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