18.ボディーガード

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池田は缶ジュースを買い私はコーヒーを頼んだ。空いている席に適当に座った。 食堂の中に人はまばらだ。以前はそれほど親しくないにしろ会話をしたことがある人がいればそこに行って混ぜてもらっていた。 最近はほとんど池田と二人きりか正美が来て三人になるかなので何となく陰で噂されているような気がした。 私と池田が親しくなる前は正美と池田がいつもつるんでいたように思う。今は正美と私が入れ替わっているような気がした。正美の気持ちを知っているだけに気が咎めた。 「帰りいつもんとこで待ってるから。」 「うん。わかった。」 池田が食堂の入口に向かって手を振った。私には背中にあたるので振り返ってみた。正美だった。 「お疲れ。」 私は正美が隣に来ると言った。 「呼びに来てくれればいいのに。出やすいから。」 正美は座りながら池田に向かって言った。 「接客中かと思ってさ。」 池田が言い訳みたいに言った。 「前なんか接客中だって早くしろみたいにうろうろしてたじゃん。」 正美がすねたように言った。 私は痴話喧嘩のカップルの間に同席してしまったような居心地の悪さを感じた。それだけではなく、いてはいけない立場の者がいるというような。 正美の心の中がはっきりと読み取れるように感じた。正美は決して口には出さなかったけれど正美が傷ついているのが私にはわかった。 そう私にはわかっていた。それなのに軌道修正しようとしなかったのだ。
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