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「何?ずるいって。」
「本当に気づかないのか、気づいてるのに気づかないふりをしてるならずるいってこと。」
「何それ?意味わかんない。何が言いたいのか全くわかんない。」
本当に私が何を言っているのかわからないようだ。
「もういいよ。」
私は面倒になってきた。
「よくないよ。はっきり教えてよ。」
池田は食い下がった。
「あのね、私が感じた印象では正美は池田くんに気があるわけ。だからこんな風に正美抜きで飲んだりしてると罪悪感におそわれる。
さっき午後の休憩の時だってそうだよ。今までは毎日正美と一緒だったでしょう?最近は私とばかり一緒な気がして気が咎める。そういうこと。」
私は言葉を選んで丁寧に説明した。池田はやっと話が飲み込めたみたいな表情で言った。
「ああそういうことね。」
「そう。」
池田はしばらく考え込むようにしていたあと口を開いて言った。
「気にすることもないんじゃない?正美と俺はただの友達で何かあるわけでもないし俺と川島さんとだってどうこうってわけでもないし。」
「まあそう言っちゃそうなんだけどね。でも最近私といる時が多くなって正美が気にしてるような気がするんだよね。」
私は言った。
「俺と正美は何でもないんだけどなぁ。」
池田は納得できないといった不満げな言い方をした。
「池田くんの方はね。何でもないかもしれないけど正美からすれば何でもなくないんだよ、きっと。私の印象ではね。」
私は言った。
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